「松尾美里(どうdō) × 鈴木えみ(Lautashi)」ライブ対談2021.1.15

鈴木えみがデザイナーを務めるアパレルブランド「Lautashi」とユーザーをつなぐ承認制有料コミュニティ「I to Lautashi(いとらうたし)」。
2021年1月15日(金)には、2021年のライブ対談第一弾として、昨年末に東洋哲学をコンセプトにしたビューティ&ウェルネスブランド”dō”(どう)を立ち上げた松尾美里さんをゲストに迎え、漢方や陰と陽、チャンスの掴み方など、様々なお話を伺った。


鈴木えみ(以下、鈴木) 今日はよろしくお願いします!ちょうど1年くらい前に共通の知人を通じて知り合ったのですが、会うたびにテンションが安定してすごくポジティブで、いつも話していて気持ちの良い方です。もともとはネイリストさんで他にも事業をされていて、昨年末には”dō”(どう)を立ち上げたのですが、興味深い点が多いので今日はいろんな話を聞けたらなと思っています。改めて自己紹介をお願いできますか?
——— ネイルサロンBARE主宰・ 松尾美里さん(以下、松尾) 私はネイリストをやっていて、ネイリストさんが必要なものの販売やネイリストさんへの教育事業をやっています。
昨年末”dō”(どう)というブランドをプロデュースして販売をしています。

鈴木 ネイリストさんになる前もユニークな経歴をお持ちなんですよね?
——— 松尾 自衛隊です。

鈴木 すごく華奢なので想像がつかないんだけど、自衛隊の時の話がすごく面白くて会うたびにいろんなことを質問してたんだよね。後でその話も伺いたいんですが、まず去年末にローンチした”dō”の準備期間はどれくらいかかってたの?
——— 松尾 ネイルオイルと入浴剤をローンチしたんだけど、今ネイリストになって15年くらいで、ネイリストになって数年経った時からプロが使うものを開発したいという夢がぼやっとあったの。本当に形にしようと思ったのは3年くらい前で、コンセプトを考えたり、どのような人たちと作っていくかメンバー集めを始めた。

鈴木 商品を作るのってプロセスが多いけど、素材や容器などのビジュアル面含めてこだわったところは?
——— 松尾 世の中にたくさんある中、どうやったら個性を出せるかにポイントをおいたね。「自分の欲しいもの」というのは根底にあって、そこからユニークにしていくのに容器も素材もこだわりすぎちゃった。笑 一つここっていうのは難しくて、全部にこだわった!

鈴木 プロダクトには瀉sha(=陰)と補ho(=陽)の2種類があるけど、そのコンセプトを決めたのは最初から?
——— 松尾 作りたいと思った時にはコンセプトは全然決めずに先に走り出して、コンセプトを決める時に自分が好きなものって何だろうって自分の中から絞り出した感じ。

鈴木 コンセプトが決まっていなかったってすごく正直だね。笑 
——— 松尾 そこから商品と自分が一緒に成長した。手がけて3年くらいだけど、その間に自分の生き方や人生観もコンセプトに合った生き方に変わっていって、一緒にできていったっていう感じ。なんか行き当たりばったりに近い。笑

鈴木 先に走り出すって個人的にはすごく大賛成で、私も行け行け!っていうタイプ。コンセプトが決まってから、中身はどうしたの?
——— 松尾 原材料は漢方にして、漢方医の方に監修をしてもらおうと思って、当時はまだ日本ではあまり馴染みがなかったから韓国の大学まで行って教授にお願いしたの。

鈴木 漢方薬局って見てるの楽しいよね。
——— 松尾 漢方って薬って思う人が多いかもしれないけど、身近な食材にもあって、漢方にもレベルがあるんだよね。みんなが食べたり飲んでOKなものと相性があるものがあって、今回”dō”には健康を維持したり病気を防ぐ部類の漢方を主に入れている。だから、みなさんに安心して使っていただけるものを作ったの。

鈴木 実際に瀉sha(=陰)と補ho(=陽)に入っているものにはどんな効能があるの?
——— 松尾 補hoは補うイメージで作っていて、体が冷え切っている人に熱を加えるようなものを入れたり、逆に瀉shaの方はそそぎ流すというもので興奮状態を抑えるような鎮静作用を主にしたものを入れてる。

鈴木 陰と陽の話を前にしたときに、ネガティブな気持ちはみんないらないと思ってると思うけど・・・っていう話もしたよね?
——— 松尾 したした。1年には春夏秋冬があって陰陽のバロメーターがすごく動いてるんだけど、私は人間の感情にもあると思うの。毎日楽しい・嬉しいばかりじゃなくて、すごく悲しい日やイライラする日もあるんだけど、それって必要なものというか、あって当たり前のことなんだよね。プラスがあればマイナスもあるというのが東洋の考え方で、自分の中でネガティブと思いがちなものを排除することはもはやできないから、それを受け入れて生活するのがすごく大切だなと思う。

鈴木 美里ちゃんは自衛隊にいたよね。自衛隊の教えってどういう感じだった?
——— 松尾 陰は許されない。笑 女性特有の「泣くな、怒るな、拗ねるな」は一番最初に言われた。泣く暇もないんだけど、とにかくその時は無。悲しんじゃダメ怒っちゃダメとか、そういう極限のところまでは行かされた。

鈴木 なぜ自衛隊に入られたんですか?と質問が来てます。
——— 松尾 親に入れられたに近い。元々はCAになりたくて学校に行ってたんだけど、途中で美容にすごく興味が出て親に夢が変わったと話したら、一人暮らししてた家に自衛隊の応募書類持ってきて書かされたの。何で親がそうしたかというと、私は航空自衛隊だったんだけど、政府専用機の客室乗務員は自衛隊だからそこに行かせようとしたの。親としては一回決めたことは貫き通せという教育だったから。落ちるように頑張ったけど受かった。笑

鈴木 自衛隊に入って心が折れそうだったことは?
——— 松尾 一つ目はバリカンで角刈り。髪の毛切られるって知らずに行ったから、ビックリした。「もう少しこの辺を」って言ったけど、聞き入れられなかったよね。泣いた。もう一つは、山に訓練に行ったときに、明日は休みと言われて上官にお酒を飲まされたの。普段は飲んじゃいけないんだけど、その日はよしと言われてみんな安心して飲んだの。そしたら朝の4時くらいに爆竹が鳴って「敵が来たぞー」って。
鈴木 それは、敵はいつくるかわからないシミュレーションってこと?
——— 松尾 そう。そして、そのまま飲まず食わずで山の中を走った。ゴールがないんだよね。みんなが泡を吹いてバタバタ倒れた。

鈴木 自衛隊でメンタルは鍛えられた?
——— 松尾 3年間だったけど、鍛えられたと思う。あの時よりはマシだと思える。やっぱりあの時は自分の感情を無視しないとやれなかったけど、普通の日常生活に戻ってすごく自分って感情があるんだなと思って。

鈴木 感情を横に置いて今は仕事をがんばらないといけない時ってあるじゃない?それが終わった後にストイックスイッチを切って、メンタルの回復をするって大事だなと思うんだけど、普段はストレスが溜まった時はどうしてる?
——— 松尾 自然の中に行く。一人でハイキングに行ったりする。毎日のことで言うと、私はお風呂の時間が自分をクリアにできる時間。人によってストレス発散法ってあると思うけど、私は水に入ると大丈夫。

鈴木 私は怒りがある時は、止まらずに動く。すごく掃除をしてキレイになると心も洗われていく感覚。掃除しながら怒ってる。
——— 松尾 怒ると家がピカピカになるんだ。自分なりの解決法があると良いよね。見つけていくのが良いよね。

鈴木 また話は戻るけど、いま進行中のプロジェクトはある?
——— 松尾 ネイルオイルと入浴剤という外からケアするものを作ったけど、次はインナーケアで口から入れるものを原料から作りたいと思って、農業をしようと思って進めてる。自分が食べてるものの背景を知ることって今皆さん興味があるのかなって思うんだけど、私も将来自給自足ができるように去年にセミナーに行ってみた。

鈴木 自ら学びにいく姿勢って、みんなにとってもキャリアアップにつながったり人としての学びが深まると思う。それがチャンスを掴むために大事なことだと思うんだよね。
——— 松尾 そうだね。やっぱり経験してみないと自分が何をやりたいかわからないと思う。私はやりたいことがよくそんなにたくさん湧き出てくるねって言われるんだけど、経験すると自分にはこんな興味もあったんだとか知ることが多くて。

鈴木 一つのことをやっているとそれに付随して他のことがどんどんつながっていくもんね。いくつか経験して枝分かれして、それを組み合わせたらどんな仕事になるかなとかそういうのも楽しそう。
——— 松尾 私は農業がずっとやりたかったけど、まさか新しいブランドで結びつけられるとは思わなかった。日々の小さいことでも、こういうことになったんだと感じることが多いかも。

鈴木 そうやって美里ちゃんもチャンスを掴んで、今がゴールではなくまだまだ途中ってことだよね?
——— 松尾 ゴールってなかなかないよね。また次がある、人生って。まだまだ続きますね。

鈴木 一歩踏み出すことができない人へのアドバイスは?
——— 松尾 やりたいこととやらなくちゃいけないことが、ごっちゃになってるかもしれない。制限をかけてると気づいたら、制限をとることはできると思う。自分を知ることで選択が変わってくる気がする。

鈴木 いくつか質問が来ています。不眠や冷えにいい漢方は?
——— 松尾 冷えは血行が悪いから、漢方で治すというのもあるけど、まず生活習慣を見直すことがすごく大事。入浴を毎日続けるとよく眠れるようになってくる。食事は根菜など体が温まるものを毎日食べる。あとは運動。

鈴木 漢方はまずいイメージがあるのですが、自分にあった飲める漢方は誰でもあるものですか?
——— 松尾 漢方はまずいです。独特な苦味があるので。錠剤にしてもらうこともできるけど、漢方医さんに聞いた話では煎じ薬の方が体に浸透しやすい。

鈴木 最後にアセトンの話をしようか。私の友達のネイリストさんも言ってたんだけど、アセトンが本当に体に良くないからネイリストを守りたくてやさしい製品を作りたいと。みんなそこにたどり着くんだなと思ったの。
——— 松尾 本当によくないんだよね。体に浸透しちゃうし、有害物質が気化してそれを吸い込むことが体に良くないと言われていて。

鈴木 みんな自宅で使う除光液はなるべくアセトンフリーのものを選ぶようにしてね。今は選択肢が増えてるから、体は自分で守って大事にしていきましょう。たっぷり1時間ありがとうございました。これからのdōも美里ちゃんの活躍も楽しみにしています。


■「松尾美里」
ネイルサロンBARE主宰。ネイル業界を通じて社会貢献することをミッションとして掲げ、商材の開発や教育事業を行う株式会社エッジオフィスを設立。2020年12月、東洋哲学をコンセプトにしたビューティ&ウェルネスブランド ”dō” (どう)を立ち上げ、クリエイティブディレクターも務める。
http://nailbare.com/
https://edgeoffice.jp/
https://www.dojapan.jp

■「鈴木えみ」
1999年にモデルとしてデビュー。 2017A/Wに自身がデザイナーを務めるブランド「Lautashi(ラウタシー)」を発表。
2019年に開始されたアマゾンファッションの新サービス「The Drop」の企画では、アジア圏では初選抜され完売が続き話題となるなど、各方面でプロデュース能力が注目され、その活動は多岐に渡る。プライベートでは一児の母。

■「Lautashi」
2017年に鈴木えみが立ち上げたアパレルブランド。
コンセプトは、「求めるものは奥行きのある佇まいと存在感、 そして内面から湧き出るしなやかさ。 存分に力を発揮できるように、鎧となろう。」
2020プレフォールコレクションより、デザイナーが幼少期を過ごした90年代の上海での記憶をコレクションに反映。
https://lautashi.com

■「I to Lautashi」
あなたと私とラウタシーで”いとらうたし”な日々を共に過ごしていけたら、そんな思いで会員制の有料コミュニティを2020年5月1日にローンチ。
インスピレーション源や洋服作りのプロセスなどのメイキングを共有しつつ、ファッションだけにとどまらず様々な有意義な情報をシェアしコミュニケーションを取り、カスタマーとの密な距離感を目指す。
今後も積極的にライブ対談やオンラインワークショップを実施し、表面的ではない豊かさを常に意識したコンテンツを提供する。
https://lautashi.official.ec

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